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| 2002年10月12日、土曜日。再開校以来3回目となる『端島大運動会』が、「未来に向かってはばたけ!」のスローガンのもと、盛大に行われました。 当日は天候にも恵まれ、多くの皆様のご協力と応援で今年の運動会も大成功!…でしたが、もちろん、その成功までの道のりは決して安易なものではありませんでした。悲喜こもごも、といえば大げさになるでしょうが、心に残るエピソードもたくさん生まれました。 このコーナーでは、1か月半の長きにわたる運動会までの日々を振り返りながら、運動会に向けて島民一同が力を合わせて「運動会」を創りあげていったその“軌跡”を少しずつたどってみたいと思います。ちなみに、不定期連載です(笑)。 |
| そりゃないぜ、ゆうちゃん & 踊るぞ、かいくん 今年の運動会は、のっけから大変でした。ゆうちゃんが2学期突入早々に体調を崩してしまったのです。体が完全に復調するまで、かなり長い時間がかかりました。運動会の練習どころか、それ以外の学習もほとんど進みません。もちろん児童はたった2名ですし、学習が遅れるなんてことはどうってことありません。後からでも十分に取り戻せます。しかし、ふたりしかいない子どものうちのひとりが休む、かいくんにとってたったひとりの友達が長いこと元気がないというのは、それだけで活気が失われます。これが一番痛かった。 ゆうちゃんのいない教室で勉強していても、何か、こう、盛り上がんないな。よし、かいくん、ダンスの練習をするか。 というわけで、ゆうちゃんがいない間に少しでもダンスを上手になっておこう、かいくんがゆうちゃんにしっかり教えてあげられるようにとふたりっきりで練習を始めました。体を動かしていると、なんだかエネルギーがわき上がってきます。ゆうちゃん、早くよくなれよと心の中で祈りながら、かいくんと僕は踊り続けました。
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| 慶子先生の力作 今年はうちの奥さん、子どもたちにとっては“慶子先生”が運動会の準備を手伝ってくれて大変助かりました。 これまでの端島大運動会では毎年パネル画を描いて入退場門を飾ってきました。慶子先生はわりとイラストなどを得意にしていると豪語(?)していたので、いっちょやってもらおうかと任せることにしました。 下絵はパソコンを使って考えました。今年の運動会のテーマは「中国」にしてはどうかと考えていたので、子どもたちに中国風のコスチュームを着せた絵にしようということになりました。(ところで、運動会のテーマがなぜ「中国」かということについては、次回お話ししようと思います。)
…などと言いながら完成したのが下の絵です。今度はこれを大きなベニヤ板に描いていかなければなりません。ここからは慶子先生が大活躍でした。ねじりはちまきキリリとしてめて、ではありませんでしたが、エプロン姿で大はりきりでがんばっていました。もちろん子どもたちもキャンバス作りから塗るところまで、いっしょにがんばりました。 完成したパネル画を見て、子どもたちもびっくり、そして大喜び。「すげー」と言って目を丸くしていました。僕たちから見ても、イメージしていた通りのできあがりとなり、大変感心しました。最後にみんなで慶子先生にお礼を言いました。鼻やらほっぺたにペンキをつけた慶子先生も、とてもうれしそうでした。 運動会当日このパネルは入退場門の左右に、金剛力士像のように配置。ふたりで門を支え合っているような感じを表してみました。 それにしても、自分たち一人一人の絵をこんなに大きく描いてもらえるなんて、このふたりは幸せですよね。
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今年のダンスは2本立てで行こう@ 《チャイナガール》の巻
さて、今年のダンスは何にしようか。実はこれ、ずいぶん早くから決めていました。 中国風のBGMを使った勇壮な演舞。棍に見立てた棒を使ったり、元気なかけ声とともにカンフーのような「型」を取り入れてみよう。こんな具体的なイメージを端島に着任した3年前からすでにあたためていました。それでも今年まで焦らずにアイデアを寝かせてきたのは、じっと機会を待っていたのです。 僕がイメージしていた動きはそれほど難しいわけではないのですが、低学年にはちと荷が重すぎるかなという感じていました。そこで、低学年のうちはわりと取っつきやすい歌謡曲を中心に取り組んできました。ちなみに1年生の頃は『LOVEマシーン』、2年生では『恋愛レボリューション21』とかなりかたよった選曲。おかげで今年の運動会の前には「先生、今年もモーニング娘。?」と何度聞かれたことか(笑)。僕はアマノジャクですからそんな風に言われちゃうと「今年は絶対に『モー娘。』以外の曲を選ぶぞ」となるわけなのですが。また、これは後で気づいたのですが、今年は日中国交正常化30周年記念という節目の年だそうで、偶然にもタイムリーな演出となりました。 さて中国風のイメージに合わせた肝心のBGMなのですが、これもすでに目星をつけていました。僕が小学生の頃にジャッキー・チェン主演のカンフー映画が流行っていましたが、その中でも「五獣の拳」(別題「拳精」)とかいうタイトルの映画が大好きでした。わりとコミカルなシーンの多い映画でしたが、その中で使用されていた音楽(後に「チャイナガール」という曲名であることを知る)がなぜか長いこと耳に残っていました。そして、この職についてから前任校で「太極拳」に挑戦したときにさっそく使用してみました。ノリのいい軽快な曲で、表現運動のBGMとしても使いやすい楽曲でした。
オリジナルといっても、参考にできるものは何でも参考にしました。ジャッキー・チェンの映画を何本も見直して使えそうな動きを探しましたが、やはりハリウッドスターの動きは尋常なものではなく、そうカンタンにマネのできるものではありませんでした。ですが、棒を使った動きなどはこれら一連の映画が大いに参考になりました。途中で棒を捨てて拳の型のパートに移るのですが、これは「忍風戦隊ハリケンジャー」からヒントを得ました。ヒーローの変身シーンをよりダイナミックにアレンジして、いかにも中国カンフーらしい動きを考案しました。この動きなどはゆうちゃんが休んでいる間にかいくんと相談しながら創りあげていったものです。もちろん今年も、夜の講堂でひとりっきりの練習も欠かしませんでした(笑)。子どもたちの前ではさりげなく涼しい顔をして踊ってみせるのですが、けっこうカゲで自主トレしてたりなんかして。またこのダンスは激しい動作を急激に止める動きが多く、筋肉痛に悩まされ続けた思い出深いものともなりました。
といったわけで、ダンスの1本目は苦労もなく完成させることができましたが、問題はもう1本のダンスでした。 次回は、このもう1本のダンスにまつわるエピソードと、そもそもなぜ今年は2本立てにしたのかという点についてお話ししてみたいと思います。 |
| 今年のダンスは2本立てで行こうA 《V・A・C・A・T・I・O・N》の巻 今年のダンスでは、一つのイタズラをしかけました。まず1曲目で「チャイナガール」を踊り、今年はこれで終わりかなと思わせといて、実はもう1曲あるんですよ〜ってな趣向にしようと思ったのです。このことを子どもたちに話すと大変おもしろがっておりました。みんなが驚く顔を想像しただけでワクワクしたのかもしれませんし、「秘密」という言葉の響きがうれしかったのかもしれません。当日見に来られた方にゆうちゃんが我慢しきれなくなって「ダンスには秘密があるんですよ」と言ってしまったのを、「ゆうちゃん、それはナイショじゃろ」とかいくんがたしなめている場面もありました。実に愛すべき子どもたちです。 ところでこの「もう1本」のダンス、実は選曲が難航していました。プログラムの前半「チャイナガール」が力強いダンスなので後半部はわりとかわいらしい感じのダンス、雰囲気としては昨年までの「モーニング娘。」の曲のようなものがよかったのですが…イメージにピタリとはまる楽曲がなかなか見つかりませんでした。 そんなある日、うちの奥さんにせっつかれて映画を見に行きました。「ナースのお仕事 ザ・ムービー」という映画です。およそ僕のキャラクターにそぐわぬ映画でしたが、肩のこらない見やすい映画でした。本編の中身はさておき、映画が終了してエンディングテーマが流れ始めた時に思わず「おっ」と身を乗り出してしまいました。 「V・A・C・A・T・I・O・N〜♪ 楽しいな!」という聞き覚えのあるフレーズとともに流れてきたのは、懐かしい「V・A・C・A・T・I・O・N」という曲。その音楽に合わせて出演者が軽快にダンスをするというエンディングだったのですが…「これだっ!」と思いましたね。 まず、ダンス自体が見栄えのするわりに難しくない。サビの部分のダンスがきちっとパターン化されていて、それをつなぐ別パートも同じ動きの繰り返しが多い。これは少しアレンジすればかなり使えるダンスになりそうだと確信しました。 そしてこの音楽は、1962年にヒットした弘田三枝子さんの曲を主演の観月ありささんが新たにカバーした曲であるということも魅力でした。歌詞は変われど、あのフレーズは誰もが一度は聴いたことがあるはずです。 …僕は生まれて初めて映画のリピーター、つまり同じ映画をもう一度見に行きました。しかも一人で行くのはかなりテレくさかったので、今度は僕が奥さんにせがんで(?)いっしょに行ったような次第です。 端島に帰ってから夜の講堂で一人踊ってみるのに、運動会で踊るにはちょっと単調すぎたのでメインパート以外はずいぶんとアレンジを加えました。このダンスにはすでに1学期のうちから練習に取り組み、夏休み前にはほぼ8割方完成させていました。そして、運動会の気運が盛り上がってきた頃に再び引っ張り出してきて仕上げをしました。ちなみにこのダンスのテーマは「楽しく踊ろう」。「V・A・C・A〜」のあたりは実際に歌いながら、口ずさみながら踊れるといいねなどと話していました。
今年は2本立てということで計画し、練習をしてきた子どもたちのダンス。かいくんの言葉を借りれば「バージョンアップした」と言ってよいでしょう。 毎年運動会が終わると島のみなさんが「よかった、よかった」と言ってくださいます。その感動を忘れずに、よりすばらしいものをと毎年がんばっています。そして今年も端島の子どもたちはたくさんの拍手をその全身に浴びました。この大きな拍手は彼らにとって最高の賞賛であるとともに、明日への活力につながります。今年の大きな感動もきっと彼らをいっそう成長させてくれることと信じています。 |
| 端島大運動会 準備は島のみなさんのあたたかいご協力で ご存じの通り、端島小学校は児童2名、職員3名の小所帯。行事の準備は大変です。しかも今年は運動会の前々日にどうしてもはずせない出張が入ってしまい、学校のみんなにも迷惑をかけてしまいました。運動会前だというのに半分徹夜の日々が続きましたが、その出張のための資料作りを子どもたちも手伝ってくれ、人の優しさが骨身にしみた一週間でした。 運動会の準備も学校だけでできることには限界があります。そこで端島のみなさんにお願いをして、ご協力いただけることにはお手伝いいただいているのですが毎年みなさん、お忙しい中にもかかわらず駆けつけてくださいます。 運動会前のグラウンドの除草、婦人会の踊りの練習、前々日・前日準備、当日の係、後片づけ等々。端島の運動会は、島のみなさんのご協力なくして運営できるものではありません。ですから本校の運動会は「端島小学校大運動会」ではなく、端島のみなさんのご協力に敬意を表して「端島大運動会」と冠しているのです。 今回は、そんな島のみなさんのご様子を写真で紹介したいと思います。端島出身の方々には懐かしい顔ぶれも多いのではないでしょうか。
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あの日の感動をいつまでも 《最終回》
僕たちは待っていたのです。そして、その待ちに待ったものが先日ついに端島小学校に届きました。 端島出身の方々の中に、カメラマンの方がいらっしゃいます。杉本昌広さんです。そうです。昨年から本校のホームページを見ておられる方は覚えていらっしゃるかと思いますが、杉本さんは昨年の運動会にも参加してくださり、数々の名場面をそのプロの腕前で記録してくださいました。このホームページでもその作品の特集を組ませていただきました。僕たちが普段から撮っている写真なんか比べ物になりません。ましてやデジタルカメラなんて…その躍動感、立体感、迫力には圧倒されました。遠くから望遠レンズも使って狙っておられるからか、写っているみんなの表情も実に豊かです。真正面からカメラを向けられているというよけいな緊張感がないからなんでしょうね。 杉本さんは今年の運動会にも駆けつけてくださいました。お忙しい中をわざわざ故郷のために戻ってきてくださったうえに、今年も本当にたくさんの写真を撮って、こうして送ってくださいました。その写真はあまりにも膨大な量です。現像、整理、大変な仕事だったはずです。…杉本さん、本当にありがとうございました。 杉本さんの写真を紹介することなしに端島大運動会が本当のフィナーレを迎えることはないと思い、ここまでこのコーナーもオープンエンドの形で引っ張ってきましたが、これで今年の端島大運動会もいよいよ本当の完結です。 杉本さんから届いた数百枚にのぼる写真の束の中に、一通の手紙が入っていました。杉本さんからのお手紙です。その中に、こんな一文がありました。
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