| 新春特別企画 | ![]() |
| ことのはじまり | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| そもそもの始まりは、1年生の「生活科」の授業でした。 昔から伝わるお正月の遊びを知り、楽しもうという内容です。 子どもたちに「お正月の遊びと言えば?」と、定○ショーのような質問を投げかけてみると、出てきたのは「こま回し」「 凧あげ」でした。残念ながら、「福笑い」「すごろく」「かるた」「はねつき」といった遊びまでは知らなかったようです。それらの遊びもただ今体験しつつあるところなのですが、まずは子どもたちが知っている「こま」「凧」からチャレンジすることになりました。 子どもたちが初めて手にする「こま」。なかなか思うように回ってくれなかったようですが、我々の熱血指導(?)と、それ以上にお父さん方の体験をふまえた実地指導の賜で、ふたりの「こま」が見事に回るようになった頃…。 「こうなってくると、次は凧だな。うん。よし。作ろう。今から作ろう。」 こう意気込んだのは他ならぬ恒松校長先生。 思えば、あの一言から始まったのデシタ。 |
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| 「飛ぶんですか? その凧」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| そして、凧の魅力のとりこに… | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
さて。いよいよ校長先生の自信作『ゴミ袋で作ったうえ不思議な形をしているのに、なぜか必ずよくあがる凧』(以下『ゴミ凧』)のテストフライトです。試験飛行のパイロット(気分だけはね)の栄誉をいただいた僕がさっそくあげようとすると…。
「ああ古屋先生、待った待った」 「え?」 「コレがないと大変なことになるよ」 と手渡してくださったのは厚手の手袋、軍手でした。 …えーっ、そんなにスゴイんですか? 僕はあわてて軍手を装着。 よし。今度こそ。…おおっ! これはスゴイ!! ほんの少しの風をはらむと、上空めざしてまっしぐらにあがっていきます。 何回の失敗で地面に降りてきたのですが、地面に置かれた状態でも風が吹いてくるとムクムクッと起きあがって飛び上がっていきます。次こそは…よーし。風に乗ったぞ。 ちょっと太めの凧糸がすごい勢いで繰り出されて…アチィッ! ああっ、軍手がすりきれた! 人差し指の部分が摩擦でやぶれて、ヤケドをしてしまいました。 いや、しかしこれはおもしろいですね。半信半疑だった僕や浦浪さんもびっくりです。子どもたちも大喜び。 「あの凧、すごいあがっちょるね」 「鳥が飛びよるところよりも高いで」 島の上空にはどうやらいつも強風が吹いているようで、一度あがってしまったら空に張りついたように安定しました。 誰もが、いつまでも空を見上げていました。 |
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| 子どもたちの凧づくり | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 1年生の「生活科」の学習の中には、「おもちゃづくり」というものがあります。身近な材料を使って自分でおもちゃを作り、友だちと仲良くあそぼうというものです。 子どもたちがどうやら「凧」に興味を持ったらしい今、この機を逃しては…ということで。全校あげて「凧づくり」モードに突入しました。 といっても、例の『ゴミ凧』は1年生が作るにはかなりの難易度。そこで、子どもにもカンタンに作れる凧を探しました。心当たりはあったんです。前の学校で低学年の先生が子どもたちといっしょに作っておられた、その名も確か『ぐにゃぐにゃ凧』。 しまった。作り方をしっかり聞いておけばよかった…と思ったのも一瞬のこと。今、僕たちにはインターネットというつよ〜い味方があります。 試みに「凧」というキーワードで検索してみると、あるんですねー、いっぱい。 …あっ!! 校長先生の『ゴミ凧』に似た凧が載ってますよ。…デルタボックス? なるほど。全面部の三角形状のパーツが特徴なんですね。「立体凧」のひとつだと紹介してありました。 おっと、脱線。今は「ぐにゃぐにゃ凧」を探しているんだったと。…ビンゴ! 見つけました。 以下は、それらのページを参考にして子どもたちといっしょに作った『ぐにゃぐにゃ凧』の作り方です。
その後何回か新しく作り、今では「3号機」まで増えています。はじめは作るだけでせいいっぱいでしたが、2号機あたりになると自分の凧にお気に入りの絵をかき、名前(たとえば「たこまる」)をつけてあげる余裕すらうかがえるようになりました。 そして、そのあまりに美しく優雅な(?)飛び具合に魅せられた大人たちはますます凧のとりこに。 |
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| 童心にかえって | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 空高くあがっている凧を見ているときの子どもたちの顔は、とっても輝いています。 「よーし。それなら子どもたちに、もっともっといろんな凧を見せてあげよう」 という意気込みから、僕たち大人もがんばって凧づくりに挑戦してみることにしました。 ボックス凧 ★☆校長先生の挑戦☆★ この冬、校長先生は数多くの凧づくりに挑戦されましたが、その中でも変わり種といえばやっぱり『ボックス凧』でしょう。 この凧はいわゆる「立体凧」の代表的なものです。そのため『立体三角凧』とも呼ばれています。 その正体は、正三角柱です。正三角柱のまわりに紙やビニールを張ったものです。飛んでいる姿はさながら「空飛ぶ行灯(あんどん)」のようです。 ただし、そうとうジャジャ馬な凧です。あちこち風向きが変わる端島小学校のグラウンドで、上空まであげるのはかなりの難易度です。 しかし、一度あがってしまえばさすがは立体凧。その安定性は他の凧の追随を許しません。
ヘビ凧 ★☆浦浪さんの挑戦☆★ さて。浦浪さんが選んだのは、今年の干支にちなんだ縁起物『ヘビ凧』です。これは、学校に届いた「こどもの国ニュース」の一コーナーで東京学芸大学の広井先生が紹介しておられたものを参考にしたものですが、凧あげの盛んなタイ国の凧だそうです。
「ヘビ凧」の試験飛行も大成功。長いシッポが気ままな風に揺られるその姿は、不気味というよりはとにかくユーモラスの一言。また、長いシッポにはそれ自体が風にあおられることで揚力を生んでいるのだということを知り、その工夫に感心しました。 ぐにゃピン凧 ★☆僕(古屋)の挑戦☆★ しかし僕は、子どもたちがあげている「ぐにゃぐにゃ凧」を見ながらその“構造的欠陥”が気になりました。 あげている最中に突然失速して、落ちてしまうのです。グラウンドであげているぶんにはいいのですが、釣り竿とリールを使って堤防の上から海に向かってあげている最中に墜落されると困ったもので、何度もズブぬれの凧を回収しました。
それなら横に竹ひごをはればいいのではと思うのですが、それではふつうの凧といっしょになってしまいます。 柔軟性あふれるビニール面を保ちつつ、それがぐにゃぐにゃしすぎてくっついてしまうことがないようにと工夫して作ったのが、その名も『ぐにゃピン凧』です。 工夫といっても、実に簡単です。横に竹ひごをピンとはるのですが、その竹ひごの長さをビニールの横の長さよりもちょっと短くしてやる、それだけです。
この凧は、自分なりにああでもない、こうでもないと考えながら試作した凧です。自分としては絶対にうまくいく自信があったのですが、初めてあげる時はドキドキものでした。リールに巻いた釣り糸を結びつけ、海に向かって放すと…風をはらんで急上昇。計算通り、「ぐにゃぐにゃ凧」のように途中で失速することもありません。あっという間に200m以上ある釣り糸が完全に繰り出されました。 とにかく感激でした。はるかかなたの青空の中、豆つぶよりも小さく見える凧。半透明のゴミ袋で作ったためにちょっと目を離すと見失ってしまいますが、赤い紙テープで作ったシッポのおかげでかろうじて見つけることができます。 しばらく時間を忘れて、みんなで空を見つめていました…。 その後、大きさや材料を変えていくつか作ってみましたが、いずれも驚異的な安定力を発揮しています。 子どもたちのためと言いながら、凧を持って元気に走り回る“子ども”が5人になっちゃったというお話でした(笑)。 |
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| 凧が教えてくれるもの |
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| 凧づくりに明け暮れた1月が過ぎ、2月も半ばとなりました。 まだ学校内のあちらこちらに、みんなが作った凧が置いてあります。さすが一時期に比べると、子どもたちが凧をあげている姿はあまり見られなくなりました。僕は時々、風がいい日を選んでは糸がめいっぱい出るまで凧あげを楽しんでいます。
みなさん、真剣に取り組んでくださいました。真剣に、というよりは子どもたち以上に熱中しておられたというべきでしょう。 “先生”役の子どもたちが、 「父ちゃん、そこはそうじゃないって」 なーんて一人前なことを言うと、 「そうかあ? 父ちゃんはこうした方がもっと飛ぶと思うで」 と切り返し。その横ではお母さんの凧づくりがマイペースで進んでいきます。 こんな様子がもうおかしくって。そして、懐かしくって。 いつか浦浪さんが僕たちに聞かせてくださった話ですが、 「昔は、お兄ちゃん・お姉ちゃんたちに一緒に遊んでもらうために必死で後を追いかけていましたねー。そのためには、凧を作れるようになったり、コマを回せるようになったり、泳げるようにならないと。そういえば、端島全部を使って、青年団も一緒になっての「大かくれんぼ大会」をしたこともあります。そうして私たちは大きくなりました。もちろん、自分が大きくなってからは年下の子どもたちには私たちが教えてあげるんですよ。」 いいなぁ。本当に地域(島)の人々が一緒になって、子どもたちを育てていたんだなぁ…うらやましく思いました。 今は端島も若い人がずいぶん減って、地域の人々との直接的な関わりを通じて生活や遊びの中で受け継がれているものが少なくなってしまったとのことです。 そうして考えると、凧づくりを通じて僕たちが教えられたことがいっぱいあったように思います。 世の中すっかり便利になっちゃって、「作らなくては遊べない」「自分が遊ぶために作る」という一種スリリングな感覚は、久しく忘れていたものでした。そこから生まれるのは、自分が作ったものへの深い愛着です。これが、使い切り・使い捨てのものが目立つご時世だけに新鮮に感じられました。 そして、凧は日本の伝統文化です。伝統文化のよいところは、それをかけ橋にすれば老若問わずに誰もがふれあえることではないでしょうか。
来年の冬はどんな凧にチャレンジしようかな… 今からそんなことを楽しみにしながら、今年の『凧づくり奮闘記』、これにて完結とさせていただきます。 《おわり》 |
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