136号
2000年10月号


 TOP NEWS
特集 『端島大運動会』

みんなで力を合わせて   校長 恒松徹生

朝礼台のお化粧直し
 平成12年10月9日 午後2時50分。早朝の風雨がまるで嘘のように太陽が照りつける中、『端島大運動会』は幕を閉じました。計画では前日の予定でしたが、雨のために順延という苦しい選択を強いられました。 しかし、10年ぶりのこの運動会の成功は、私たちに明日への希望と夢と自信を与えてくれました。端島の皆様はもちろん、柱島の皆様および柱島小中学生、黒島の皆様、そしてこの日のために島に帰ってきていただいた卒業生の皆様のおかげです。
 すばらしい運動会ができました。本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます。

運動会までの日々

 この日に至るまでのエキサイティングな時を思い出します。
 4月、開校式。
 「児童2人だけの運動会。10年ぶりの運動会。はたしてできるのだろうか?できるとしたら、それはどんな運動会なのだろうか?」
 5月、6月、7月、8月は運動場除草の闘いの日々。笹村さん御一家、亀田さん御一家が闘う。浦浪さんも闘う。負けじと私も古屋先生も闘いました。雑草は強い。しかし、闘う。
 9月、端島集会所にて第1回運動会企画委員会が行われました。そこで本年度復活の運動会の方向、プログラムの凡そが決まりました。
 黒島より朝礼台を譲り受け、子どもたちと一緒にペンキを塗りました。端島のイメージで爽やかな青色で塗り上げました。得点板も新たに作りました。何年ももってくれることを願いながら。
 婦人会のみなさんが運動会で披露してくださる踊りの練習が、運動会準備での忙しい毎日にあざやかに華を添えてくださいました。
 第2回の運動会企画委員会では、分担していただく係を決めたり、スローガンについて話し合いました。お忙しい中集まっていただいた島のみなさんは、かつての運動会を思い出されながら積極的にご協力くださいました。スローガン議論はなかなかの白熱。「明日に向かって」「みんなで力を合わせて」の2つに絞られましたが、後者に決まりました。多くの方々のご協力なしには実現できない端島大運動会。その復活にふさわしいスローガンであったと思います。
 岩国西中学校より放送器具をお借りしてきました。それを校舎についている昔ながらのスピーカーとどうつなげるか。ああでもない、こうでもないと頭を悩ませたことも今はよき思い出です。
 亀田さんと笹村さんは子どもたちのためにととても立派な巨大サイコロを制作。カラフルなサイコロは端島の運動会の大切な小道具としていつまでも大事にしていきたいと思っています。

子どもたちも大活躍

 入場門を飾るパネル。端島の海と見壁の山をイメージしたものでしたが海輝と侑季もがんばって手伝ってくれました。「シドニーに続け!!」という競技の中で使う大きな魚の絵。何日もかけて色を塗り、完成させたのも二人でした。一方で2人は、ダンスの練習の日々。毎日汗だくになりながら日に日に上手になっていく様子に感心したものです。また海輝と侑季は今年入学したとはいえ、事実上本校の最上級生。入場行進・開会式・閉会式では大役が任されます。1年生のうちからこうした経験ができる2人は、幸せな子どもたちです。

ハプニング続出!!

 10月6日(金)
 午後2時より島のみなさんと運動会の準備をしました。テントを設営しながら「こんなふうにロープを張るとどんな風でも飛ばされないなぁ」と感心しきりでした。万国旗を揚げ、入退場門も作りました。殺風景だった運動場が華やかに彩られていき、胸はワクワク高鳴ります。ここにきて初めて「運動会はできる!」と実感しました。しかしこの日、侑季が発熱してしまいました。40度の高熱です。海輝1人とは。うーん…。

 10月7日(土)
 準備もいよいよ大詰め。島ならではの大漁旗が空にはためきました。いやはやまったく壮観です。詳しい打ち合わせもほぼ終わりました。9月の初めから少しずつ準備していた各競技の賞品も勢揃い。放送機器もチェック完了。YABも特集を組むために来島。卒業生のみなさんも少しずつ島に帰ってこられました。ところが侑季は依然としてダウン。さらに天気予報では…。

 10月8日(日)
 運動会当日の朝。雨。
 無情にも雨が降っています。午前6時に「順延」を決定しました。実につらく、残念な決断でした。各所・各人に連絡を入れ、島内放送も流していただきました。昼前頃、卒業生のみなさんが学校に来てくれました。おかげで翌日の入場行進・開閉会式の打ち合わせができました。本当にすばらしい卒業生たち。ありがたく思いました。

 10月9日(月)
 朝空を見上げると、雲の動きがきわめて速く、風が一時どんどんと強くなりました。午前7時過ぎ、突風で入退場門が根こそぎ倒れました。杭ごと折れてしまったのです。大漁旗を支えていた太い支柱も折れました。文字通り「暗雲」漂う中、「天気はこれから絶対によくなる!!」と信じ、願いながら、運動場の水をすくい、水の逃げ道を作り、土を入れ、入退場門を立て直し、ラインを引き直しました。準備物も運び出し、マイクテストと景気づけを兼ねて音楽を流しました。そして何よりも侑季の熱が下がり、何とか本番に間に合いました。心なしか海輝の緊張もほぐれた感じ。8時半頃になると、柱島のみなさんが到着されました。定期船も着いて、続々と人々が運動場に集まってこられます。そこにこぼれるのは再会を喜ぶ笑顔か、それとも10年ぶりの運動会に胸ふくらむ笑顔でしょうか。いずれにせよ私たちはみなさんの笑顔のおかげで「運動会はできるぞ」と確信することができました。
 9時50分。高らかなファンファーレ。祝砲一発。端島小学校校歌の行進曲の流れる中、入場行進は始まりました…。



 文字通り「みんなで力を合わせて」感動的な運動会となりました。参加していただいたみなさんの「とても楽しかったです。また来年も来させていただきます」という言葉にただただ、感謝と喜びを感じています。
 サン・テグジュペリ作『星の王子さま』の中で、キツネは王子さまにこう言います。
「なに、なんでもないことだよ。心で見なくちゃ、ものごとは見えないってことさ。かんじんなことは目に見えないんだよ」
 かんじんなことは目に見えない。その通りです。でもこの10年ぶりの運動会は、確かに、かんじんなことを私たちに伝えてくれました。それは…。
 
 最後にあらためて、運動会に参加していただきましたすべての皆様に、そして陰ながら応援をいただきましたすべての皆様に、心より感謝いたします。
 ありがとうございました。

練習にも熱のはいる
婦人会のみなさん


入退場門パネルづくり

おさかなづくり

ふー、やっとできたぞ

島のみなさんのご協力

島の運動会ならでは
『大漁旗』

わしら漁師じゃ、
ものを結ばせたら
誰にも負けん

無事に開会!!

「友情」―柱島応援披露 ダイスにかけろ ゴール直前のデッドヒート 坊ちゃん嬢ちゃん
飲みねぇ食いねぇ ゲートボール競走 玉入れ 今年は白組優勝!!
入魂の(?)手作り入退場門


 TOPIX
やまぐち離島フェアへ参加

緊張の
バルーンアトラクション
当日参加された柱島三島のみなさん
 10月14日、防府市の地域交流センター・アスピラートで開かれた「やまぐち離島フェア」に、柱島三島のみなさんといっしょに参加させていただきました。
 この催しは、県内にある22の有人離島それぞれの情報を交換し、広く発信していこうというものです。柱島三島からは総勢15人が参加されており、離島振興に対する熱い思いを感じました。
 さて、端島小学校の2人の児童は責任重大です。ステージ発表(といってもまだ1年生なので簡単なコメントですが)を引き受けたばかりか、オープニングセレモニーにも特別参加することに。小さ色とりどりの風船の入った大きな風船を割って中の風船を大空に飛ばすという大役です。横で見守る者の心中などどこ吹く風とばかりに見事にその任を全うできました。
 ステージ発表では、4月の入学から運動会までの、2人の元気で楽しい毎日を5分間程度にまとめたビデオを放映しました。最後に、侑季「これで発表を終わります」海輝「ご静聴ありがとうございました」と一言。会場のみなさんから盛大な拍手をいただき、2人とも、とてもうれしそうにしていました。
 会場には有名な萩の三島のたこ「おにようず」を作れるコーナーもあり、2人でチャレンジです。
 みなさんのあたたかい拍手と手作りのおにようずをおみやげに、無事端島へ帰島しました。

萩・三島名物
「おにようず」づくりに挑戦…

できあがり!!
船瀬海岸でバーベキュー

浦浪さんに教わりながら
初めて使うほうちょうに
ドッキリドキドキのかいくん
 10月24日、端島小学校・秋の遠足です。行き先はおなじみの船瀬海岸。夏には何度も泳ぎに行った場所ですが、秋の装いを始めた山道を抜けて歩くのもまた格別。どんぐりがあったり、あけびの実があったり。浜辺に着くとまずは焚き火用の枯れ木拾い。火をおこして、釣った魚を食べる…つもりが、かんじんのエサとなるゴカイが見つからずにボウズ。エサのかわりにと持って行ったイカの足も結局みんなで焼いて食べました。
 昼食は島の人からいただいた野菜や魚、おもちを炭火で焼いてもう満腹です。食後には磯周りを探検。ちょうど潮が引いていて、船瀬海岸東端の離れ小島「小山」を歩いて回ることができました。ウニがいたり、ヒトデがいたり。ヒジキもいっぱいありました。
 最後は海に向かってみんなで「ごちそうさまでした」。
 一日中時間に追われることもなく、のんびりとした気分で過ごせた秋の楽しい一日でした。

ゴホゴホ、先生、
目にしみます〜

 端島歳時記
端島の秋祭り
 10月13日は朝から端島神社がにぎやかでした。毎年行われている『秋祭り』です。島のみなさんが総出で神社の掃除をしたりのぼりをあげたりと忙しそうです。
 夕暮れになるとみなさんが神社の境内に集まってこられます。おごそかな雰囲気の中、神事は夜更けまで続きました。
 お祭りといっても妙に浮かれた気持ちになることもなく、島のみなさんが本当に大切にされている行事。これってまさしく「日本のお祭り」だよなぁと思わずうれしくなってしまいました。

 編集後記 〜 潮騒
◆こうして端島新聞10月号を作っていると多忙をきわめた一か月が思い出されます。
◆まさに暗中模索・試行錯誤の繰り返しだった運動会までの日々。「やまぐち離島フェア」への参加。船瀬海岸への遠足。本当にエキサイティングで充実した一か月でした。
◆子どもたちにとって何よりも大きかったことは、多くの人とふれあえたことです。
◆端島のみなさん。この日のために島へ帰ってきてくださったみなさん。柱島・黒島から応援にかけつけてくださったみなさん。
◆たくさんの人のご協力があったからこそあんなにすてきな運動会が実現しました。そのことを子どもなりに感じてくれたようです。その幸せと感動をいつまでも忘れないでいてくれればと願っています。
◆10月の行事が終わったら本腰を入れて(?)釣りをするぞと決意していた僕。近頃は夕方になると、船着き場から糸を垂れて瞑想(ボーッと?)しています。
◆釣りをしていると必ず三毛と黒白のネコがやってきて、じーっとそばで見ています。侑季と海輝のように元気でわんぱくなネコです。
◆だけど、これがけっこうプレッシャーなのデス。釣れた魚を時々ネコに放ってやるのですが、エサだけとられていたり、なかなか釣れなかったりすると、心なしかネコの目があわれんでいるように見えます。うーん。そんな目で見るなよ。
◆二匹のネコをしたがえながら、のんびりと太公望を決め込むひとときはまさに至福の時間。釣りにあきたら寝ころんで空を見上げれば、薄暮に輝く一番星。
◆明日は子どもたちといっしょに「あけび」に「こっこう」、「しいの実」を探しに行く予定です。