139号
2001年3月号


 TOP NEWS
感動の処女航海を終えて 校長 恒松徹生
人情あつく、笑顔のすてきな端島のみなさんと
 新端島丸は1年間の処女航海を無事終えることが出来ました。幾多の感動・冒険・試練の連続のドラマチックな1年間でした。それは、書きたいことが山ほどあった1年間が終わりました。
 3月24日の大地震にも端島は耐え、大きな被害はありませんでした。ご安心ください。
 超私的記述を少し。私は大学時代、教育とはほど遠い芸術工学部に籍を起き、卒業後、東京の建設会社に勤めました。今でもいろいろな場(私の自慢は変わった友達が多いことですが)で、「なぜ、会社を辞めて教師になったの?」と聞かれます。少し間をおき、いつも「何か実感のもてる仕事がしたかったから」といったニュアンスで答えています。絵空事の、自分自身納得の出来ない仕事で満足したくないという肩肘張った考えもありましたが、それ以上に、純粋に、「1日1日を気持ちよく生きたい」という願望がその理由だったように思います。会社勤めをしながら通信教育で教師の免許を取りました。そして、29歳で教師になったのが、山口県の地でした。子どもを教えるといいながら、実は子どもに教えられることの多い日々に、教師になってよかったと思うのは今も同じです。
 3月16日に、「平成12年度学習発表会」を端島小学校講堂で開催いたしました。島の方々22名がご参観下さいました。海くん、侑ちゃんは朝から「ハラハラ、ドキドキ」と言いながら、体を震わし頬を紅潮させていました。1年生の彼らは、胸を張って「はじめの言葉」を言い、堂々と「花いっぱいになあれ」を音読し、「こいぬのマーチ」ではピアニカを演奏し、担任の古屋が編集作成したビデオ「端島小開校1年目をふりかえって」でこの1年間のことをしみじみ振り返りました。…「校長あいさつ」!ふと我に返り、前に出て、皆さんの涙する顔を見たとたん、私も涙が出てきて言葉になりませんでした。児童2人の確かな1年間の成長と、その指導に携わった担任古屋の前向きな奮闘と、それを見守る島の方々の温かい真心、すべてに「よかった!」本当によかったと思ったからです。「何がよかったの?」、そんな問いに、一言で答えられるものではありません。あらためて端島に来てよかった、教師になってよかったと思った瞬間でもありました。その夜、酒をちびちび飲みながら、そして、ニタニタしながら、私は友人達にメールを出しまくりました。それほどうれしかったのです。
 4月に端島に赴任し、1年が経ちました。侑ちゃん、海くん、ともに個性の異なった本当に素晴らしい子ども達。子ども達とともに感動し、時には厳しく子ども達に着実に学習の力を付けようと前向きな担任の古屋。教員の身の回りから、学校の環境緑化全般にわたり最高の場づくりに意欲的な浦浪さん。すべてを温かく見守る島の人々、みんなの力で感動の1年間が過ぎました。 
 また、ホームページのお陰で、端島出身者の皆様をはじめ、全国各地の方々からの心温まるメールも私たちの励みになりました。ありがとうございました。
 最近、広島の比婆郡の古頃小学校の児童・先生から侑ちゃん、海くんに沢山のお手紙をいただき、子ども達はもちろん私たち教職員も心から喜んでいます。
 素晴らしい1年でした。
 皆様に感謝申し上げますとともに、来年度も、よろしくお願いいたします。


端島で見つけたもの
      
古屋圭宣
「新生・端島小学校」で、何を見つけることができるだろうか。そんな思いを胸に端島にやって来て1年。
 見つけました。純朴な子どもの笑顔を見つけました。端島のみなさんのあたたかさを見つけました。端島の豊かな自然を見つけました。
 そして、端島のみなさんや自然に支えられながら日々を生きている「自分」を見つけました。
 これからはみなさんに少しでも恩返しをしていきたいと思っています。

九年の空白を越えて
      
浦浪フジコ
 平成3年3月末、桜の咲く春を感じる事もなく
涙で迎えた中学校の休校式から九年・・・・・・・・。
 平成12年春、島民総出で準備し迎えた小学校の開校式、校庭の桜も満開の日に入学式がありました。
 運動会、学習発表会等行事も色々ありました。
 13年桜の咲く春
むかべ山の桜、校庭の桜と、少しは余裕をもってまわりが見られるようになり、9年間の休校の間まですっかり忘れてしまうような1年間でした。

学習発表会 ご参観
ありがとうございました

       
笹村節雄
 先日の学習発表会には、多くの人に来ていただき、まことにありがとうございました。
 多くの人に見ていただいたことが、子ども達には一番の励みになったのではないでしょうか。
 私たち保護者一同、これからも2人の子ども達のために学校行事には多くの方々に来ていただければと思っております。
 これからもよろしくお願いいたします。

あれから一年
      
亀田春生
 開校式には皆様方には大変お世話になり感謝しておる所でございます。
 あれからはや1年が過ぎました。地域の皆様や先生方にはあたたかい教えをいただいております。子ども達の成長は早いもので、漢字や計算もできるようになりました。最近では少し“おませ”も言って、私達を驚かせる時もあります。
 4月からは2人とも2年生となりますが、これからもあたたかく見守ってくださいますようよろしくお願いいたします。

 TOPIX
端島っ子 その力を大いに発揮〜平成12年度 学習発表会〜


 3月16日、端島小学校の今年の集大成でもあります『学習発表会』を行いました。
 この日に向けて2人の子どもたちは練習に励んできました。いいえ、思えばこの1年間学んできたことやがんばってきたことはすべて、この日のためにあったのではないでしょうか。それぐらい本番に向けて燃える2人でした。
 当日は20人を越える端島のみなさんが子どもたちのために集まってくださいました。この一事だけでも感動の一言に尽きます。
 これまでに経験したことのない、たくさんの人の前での発表。子どもたちの緊張が伝わってきます。こちらは心の中で「がんばれ、がんばれ!」と叫ぶばかりです。
 子どもたちは見事でした。1年前の、彼らとの初めての出会いが脳裏に呼び起こされます。よくぞここまで…端島のみなさんの惜しみないあたたかい拍手。達成感あふれる子どもたちの充実した笑顔。あの瞬間を私たちは忘れないでしょう。あの瞬間こそ、この1年間がいっそう光り輝く思い出となった一瞬でした。


「山の学校」からのおたより
    〜広島県比婆郡比和町立古頃小学校のお友だちから〜



 ある冬の朝のことです。端島小学校に大きな大きな1通の封筒が届きました。中にはかわいい2人の1年生の、笑顔いっぱいの写真がたくさん。
 そして、いっしょに入っていたお手紙には、とってもとってもうれしいメッセージが入っていました。
  差出人は…「広島県比婆郡比和町立古頃(こごろ)小学校」。
 古頃小学校では本校と同じく2人の1年生ががんばっているそうです。もっとも古頃小学校には6年生をはじめお兄さんお姉さんがいるそうですが、同年代の子どもが周りには少ないとのお話でした。そしてたまたま本校のことを知り、こうしてお手紙をいただくことになったのでした。  端島小学校にとって、本当にありがたくうれしいことでした。子どもたちも大いに喜びましたし、私たち職員も喜びました。
 さっそく、お返事を出しました。すると、またまたおたよりをいただいて…今、ゆっくりと、少しずつですが、古頃小学校との交流が始まりました。それはまた、山の学校と海の学校との交流でもあります。大切に大切に育てていきたい「ふれあい」です。

★☆児童のお手紙から(端島小学校児童)☆★
 まりちゃん・まいちゃん、こんにちは。
 ぼくは、ささ村かいきです。
 おてがみありがとう。
 はしまはゆきはつもりません。なつには、ふなせというところでおよいでいます。たいいくのとき、ゆうちゃんと校ちょう先生とぼくと四人でいきます。うみはきれいです。うみの中は、すごくきれいです。ぼくはあさからばんまでおよいでいます。
 はしまはあきにはこおろぎが出ます。ときどき、ぼくのいえまで入ります。
 うさぎのかいすけとゆうすけは、ちゅうをします。
 そっちには、ひばごんといういきものがいますか。ふるや先生が、
「おるかもしれんで。」
といってました。
 またいつかはしまにきてください。
 それではさようなら。
まりちゃん・まいちゃん、こんにちは。
 わたしは、はしま小学校一年生のかめ田ゆうきです。お手がみありがとね。とってもうれしかったよ。
 スズ虫はたまごになって、とうみんをしているよ。コオロギをとったことはないです。見たこともないです。
 はしまはゆきがつもりません。こごろ小学校はゆきがふっていいなあとおもいました。かいくんとわたしは、ゆきがふっていっぱいになるかとおもってゆきをまっているのに、なかなかふってきません。
 うさぎのかいすけとゆうすけは、けんかばかりしています。かいくんとわたしがとめてもけんかをします。ほんとうにとめるときつかれます。ゆうすけがかいすけのけをぬいたりします。
 はしまは、たいいくのじかんにドッチボールをしています。ことしはチューリップをうえました。さくのがたのしみです。
 きょうはこれでおわりにします。いつかはしまにあそびにきてくださいね。
 さようなら。

船瀬でカレーライス
    〜子どもたち大活躍・チャレンジ遠足〜





 3月19日は朝から快晴。まさに遠足日和です。先日の学習発表会、そしてこの1年間おつかれさまということで、みんなで遠足に出かけました。
 行き先は毎度おなじみの船瀬海岸ですが、今回の趣向は「カレーライスにチャレンジ」です。
 まずタマネギ・ジャガイモ・ニンジンなどの材料を学校で切っておきます。ゆっくりゆっくり慎重に包丁をさばく2人は真剣そのもの。
 午前10時出発。おだやかな風。心地よいウグイスのさえずり。一足早く咲きほこるヒガンザクラを横目に旧学校跡地のそばを通り、船瀬海岸へ。
 船瀬海岸についてまずたきぎを拾って、かまどを作り、火をおこします。そこにカレーの鍋と飯ごうをかけてしばしの辛抱です。数十分後…やったあ! 完璧! カレーの煮込み具合といい、とろみ具合といい、たきあがったごはんのちょうどいいコゲ具合といい、文句のつけようのない一品です。もう子どもたちも大喜び。
  大鍋いっぱいのカレーと4合のごはんがあっという間に空っぽになってしまいました。
 そのあとはニナを拾ってゆでて食べたり、持ってきたおやつを食べたり(ん? 食べてばっかり?)、砂浜で遊んだりと「船瀬の春」を満喫して帰りました。

床はピカピカ 〜年に一度のワックスがけ〜
 学校中の床にワックスを塗りました。校長先生と浦浪さんとで職員室にワックスを塗っている様子を子どもたちが不思議そうに見ていました。興味があるようでしたので、子どもたちもいっしょにワックスを塗ることにしました。
 まずワックスにぞうきんをひたして、まんべんなく塗り広げます。足跡がつかないように、すべってコケないように…と言ったとたんにかいくんが転んでいます(笑)。
 一通り塗り終えるとしばらくかわかして、午後からは黄色いモップでせっせとからぶき。みがけばみがくほどツヤが出ます。ピカピカです。
 この立派な端島の校舎をいつまでも大切にしていきたいものです。

 端島歳時記
釣って開いて…「アジのひらき」づくり


 アジの大群が端島に帰ってきました。地元の言葉で「でんご」と呼ばれるアジは、脂ものって大変美味です。職員そろって港から釣り糸を垂れるとおもしろいほどよく釣れます。昨夏に比べるとずいぶん大きな型が釣れるので驚いています。なにしろ、30p前後のアジが港から釣れるわけですから…。
 以前は釣れすぎてあとで困っていたのですが、アジを「開いて」保存することを我々は覚えました。次の日学校で浦浪さんのご指導のもと、子どもたちにも手伝ってもらって作る『端島小印』のアジのひらきのおいしいこと。ヤミツキになってしまいそうです。

 編集後記 〜 潮騒

ツクシを食べる


校庭の桜も咲きました


爛漫・芝桜
◆寝ぼけまなこをこすりながら毎朝歩く学校への道。海沿いの道。たった数百メートルの道ですが、いくつも「春」を見つけられます。
◆海岸道路沿いにかわいく並んで立っているスイセンの花。白のスイセンは清楚で気品がありますし、黄色のスイセンもなかなか鮮烈です。
◆おや? 耳をすますと…ウグイスの声が聞こえてきました。聞こえてくるのは小鳥のさえずりと波の音だけ。機械音などはほとんど聞こえてきません。
◆端島神社の前にさしかかると今度は鼻をくすぐる薫りが…これは沈丁花ですね。その木の下では2匹の猫が朝の光を楽しんでいます。
◆亀田さん宅横の一周道路入り口の椿の花もほとんど散ってしまいました。花の付け根からポトリと落ちた椿があたり一面に敷きつめられてまるで華やかな緋毛氈のようです。
◆一周道路といえば、先日子どもたちといっしょにツクシを取りに出かけました。ツクシはハカマをとって甘く煮て食べました。
◆学校に着くと、校門そばの卒業記念の紅梅が鮮やかです。校庭の桜は今すぐにでも咲きたくて咲きたくてウズウズしているかのように、つぼみがパンパンにふくらんでいます。指でチョンとつついてやると、「ポン」と弾けて咲きそうなほどに。
◆あっ! 見壁山の中腹に、早くも咲いている桜の木があります。校庭の桜ももう少しで…
◆僕たちが端島にやって来てから、四季がひとめぐりしました。今こうして、自然のうつろいに思いを寄せるようになった自分に少なからず驚いています。
◆端島は、僕たち人間が大いなる自然のふところに抱かれていることを実感させてくれる地。すばらしい楽天地です。