広島県比婆郡比和町立古頃小学校との交流記

 

はじまりは一通の封筒から

 今年の1月に入ってしばらくたったある日のことです。端島小学校にとても大きな封筒が届きました。
 差出人は…「広島県比婆郡比和町立古頃(こごろ)小学校」と書いてあります。開けてみると中には、元気な2人の1年生の女の子が写った写真がいっぱい入っていました。そして、いっしょに入っていたお手紙には、とってもうれしいメッセージが。

 古頃小学校では本校と同じ学年の2人の女の子ががんばっているそうです。もっとも古頃小学校には6年生をはじめお兄さん・お姉さんがいるそうですが、同年代の子どもが周りには少ないとのお話でした。そして、中国新聞に本校の記事が載っていたのをたまたま見つけられ、こうしてお手紙をいただくことになったのでした。
 端島小学校にとって、本当にありがたく、うれしいことでした。子どもたちも大いに喜びましたし、私たち職員も嬉しかった。さっそく、お返事を出しました。すると、またまたおたよりをいただいて…。
 
 今、ゆっくりと、少しずつですが、古頃小学校との交流が始まりました。
 それはまた、「山の学校」と「海の学校」との交流でもあります。
 そんな「山」と「海」の子どもたちの心のふれあいを、おたよりや写真なども交えながら紹介していきたいと思います。


交流を通して成長する子どもたち

古頃から届いた「スズラン」の花
 「お手紙を書く」というのは、一つの作文学習であるといえます。端島の子どもたちは毎日日記をつけたり、国語の時間を通して少しずつ「文章を書く力」を身につけてきました。
 子どもたちは一生懸命です。日記も欠かさずがんばっています。ですが、その文章を読んでくれる・聞いてくれるのはたった一人の友達であり、先生だけというのが端島小学校の実状です。
 子どもたちにとって、誰かが聞いてくれる・見てくれる、人の前で発表するという経験はとても大切です。彼らはその「発表」という経験の中で自信を深めていきます。時には失敗することもあるでしょう。ですがその経験はきっと次の成功につながります。そうして生まれた「自信」がやがて「意欲」となり、以後の学習に対してより主体的・積極的に取り組むようになってくれるのです。
 しかし、その積み重ねがどうしても制限されてしまいがちな小規模校の現実。学校生活が軌道に乗る一方で、ついつい単調になってしまいそうな毎日。教師だけではなく、子どもたち自身がおそらく“さらなる刺激”を欲していた、まさにその時。古頃小学校からのお手紙が届いたのです。
 子どもたちは生まれて初めて「自分あてのお手紙」を手にしました(もちろん、学校あての励ましのおたよりをたくさんいただいておりましたが)。その喜びようといったら…。
 ごくごく自然な流れで、お返事を出そうということになりました。子どもたちがより一体感を感じられるようにと、古頃小からいただいたお手紙と同じような便箋を準備しました。きっと子どもたちは初めて、「(文章を)書きたい!」と心の底から思ったのではないでしょうか。
 しかし悲しいかな、これまでに経験したことがなかったことだけに、気持ちははやるのですがどうしていいか分からない。どんなことを書いたらいいのだろう。書きたいんだけど書けない自分がもどかしい…これも端島の子どもたちにとっては大事な経験だったと思っています。
 子どもたちがひとしきり煩悶した頃を見計らい、
古頃のまりちゃん・まいちゃんの力作に
見入っているふたり
「もらったお手紙の中に、かいくんやゆうちゃんへの質問がいろいろあったよね。まずそれに答えてあげたらいいんじゃないかな」
と、“背中を押して”あげました。それから、
「逆に、君たちから古頃のみんなに聞いてみたいことはないのかな」…
 そうやって、少しずつ子どもたちがイメージできるようにしてあげると、あとはもう大丈夫。ここまでくれば、これまで頑張ってきた日記の学習などが大いに生きてきます。
 何度かお手紙を交換した今では、お手紙を書く力も少しずつ育ってきたように思います。そして、お手紙を書くためには相手のお手紙もしっかり読まなくてはならない。そうやっていくうちに子どもたちははからずも、本校が本年度学校目標に掲げている『伝え合う力』を養いつつあるようです。
 
 今思えば、古頃小学校からの思いがけないお手紙は、端島の子どもたちが大きな成長を遂げるきっかけになってくれた、『天啓』ですらあったように思っています。
 この「たしかな心の絆」があるかぎり、端島の子どもたちも、そして我々も、これから先がんばっていけそうです。