3月6日(土)、学習発表会を端島小学校で、開催いたしました。
 この学習発表会には、島民の方も多数、お越しくださいました。
 「1年のうち、この日が一番楽しみじゃ。」と言われる方までおられました。来てくださった方々皆さんの笑顔が絶えなかった今年の学習発表会、いったいどんな発表会だったのでしょう?できるところまで、Web上で再現していきたいと思います。どうぞ、ごゆっくりご覧ください。




練習風景
 学習発表会の練習は、2月半ばから始めました。それまでは古頃への旅行があったため、運動会の時のように、十分な練習時間は組めませんでしたが、子どもたちは、限られた時間を有効に使おうと、休み時間や家でも、練習に励んでいました。
楽器運び
 今年の学習発表会では、子どもと私たち教職員、更に保護者の方々も交えて、いっしょに合奏をすることにしました。しかし、端島小学校には楽器がほとんどありません。
 そこで、となりの柱島小中学校へ楽器を借りに行きました。
 借りた楽器は、大だいこ、小だいこ(スネア)に、木琴です。そして、劇で使うスポットライトもお借りしました。
 これで準備万端。ちなみに曲は、『茶色の小びん』です。海くんはアコーディオン、侑ちゃんは、ソプラノリコーダーで演奏します。


前日の日記より
 ぼくは、明日学習発表会があるので、劇とむかべ学習の発表を特にがんばろうと思います。なぜなら、劇は少しまちがえてしまうから、まちがえないようにがんばりたいからです。むかべ学習の発表は、ときどきつっかかっているので、つっかからないようにしようと思いました。
 ぼくは、「もみじ」がうまくできるか、心配です。
 明日は、学習発表会でげきをやるので、元気いっぱい、まちがえないようにがんばろうと思いました。私は、
「ぜったいまちがえないようにしよう。」
と、思いました。
 たとえば、「ようきな船長」で、ドンドンを、ピーッ!とやってしまうからです。
海  輝 侑  季
 子どもは、2人とも少なからずの緊張を抱いて、学習発表会に臨んだようです。
 特に、海くんが書いている、『もみじ』(童謡です。)の歌は、2部合唱で、2人の歌うパートがちがいます。これは2学期から練習している曲ですが、お互いがお互いにつられたり、1番と2番の歌詞がごちゃごちゃになったり、そのうち、正しい音程も分からなくなったりと、練習を重ねれば重ねるほどに、シッチャカメッチャカになっていきました。この曲は劇の冒頭で歌う曲ですから、劇のイメージを方向付ける役割も果たしています。これがこけたら…。子どものみならず、私も、この曲に対する不安を抱いて、学習発表会を迎えました。



 当日を迎えました。前日はものすごい暴風が吹き荒れ、天気が心配されましたが、子どもたちの日頃の行いがよいのか、風は止み、空も快晴になり、とってもすばらしい天気でした。朝、1便で島にやってくる、古屋先生と恒松校長先生を迎えに港に行き、運動会の時のように、島内放送をして、しっかり学習発表会の宣伝をしてきました。
 10時になると、島の方々が学校に集まりはじめました。
いよいよスタートです!




 まずは、むかべ学習の発表です。「むかべ学習」とは、昨年度から日本中の学校ではじまった「総合的な学習の時間」です。本校では校庭を挟んでそびえ立つ見壁山にちなみ、この総合的な学習の時間を「むかべ学習」と呼んでいます。
 これまで、『むかべの時間』には、主に、国語、算数、社会、理科など各教科の学習内容を深めたり、発展させることに重点を置きながら、
 ・端島地域の調べ学習
 ・インターネットを活用したパソコン学習
の2点を、特におこなってきました。今回はむかべ学習の時間を使ってこどもたちが作った、「端島マップ」と「読書新聞」を紹介しました。
 『読書新聞』は海くんが、『端島マップ』は侑ちゃんが発表しました。
 これらのホームページは、こちらをご覧ください。



〜あらすじ〜
 むかしむかし、端島に、杉本与惣左衛門という人が住んでいました。その日は、秋晴れのいい天気だったので、与惣左衛門さんは、芋掘りに出かけました。
 すると、蛇の池から、大きな大蛇が出てきたではありませんか!
 大蛇は、与惣左衛門さんを食べようと襲いかかりました。しかし、与惣左衛門さんは短刀投げの名人です。
「おまえなんかに負けてたまるか!やー!!」
と、投げた刀は見事大蛇に命中!!
 そのとき、大蛇は、
「よくも俺の命をねらいやがったな!これから代々、おまえの子孫の名前に与の字がつかなくなったときは、再びここに現れて、島民全員を食いころしてやるからな!」
と、言い残し、蛇の池へと姿を消したのでした。
 それから200年後。21世紀になり、端島は与惣左右衛門さんのころとはすっかり変わりました。
 端島小学校に通う侑ちゃんは、なかなかリコーダーがうまくなりません。
 今日も、練習しながら蛇の池の前を通りかかると、笛の音につられてか、大蛇が姿を現しました。
 「いただきま〜す。」
侑ちゃんが食べられる!!
 そのとき侑ちゃんが出したのは、ひとつのおもち!
 侑ちゃんの出したつきたてのおもちを食べた大蛇は、あまりのおいしさに、すっかりゴキゲンになり、侑ちゃんと仲良く踊り出しました。
 ゴキゲンになった大蛇は、リコーダーが上手になる極意を侑ちゃんに伝授。すると、あら不思議!侑ちゃんはリコーダーがふけるようになったではありませんか!
 最後は2人でリコーダーの合奏をして、これからも仲良くしていくことを誓い合いました。
 めでたし、めでたし!
 この劇は、コメディータッチで演じました。そのため劇の最中は、笑い声の絶えない、とても楽しい発表になりました。それだけでなく、子どもたちが心配していた「もみじ」では、練習以上にすばらしい合唱ができ、会場から予期せぬ拍手までいただきました。
 劇の成功に、子どもも私も本当にほっとし、そして、自分たちのがんばってきた努力に自信を持つことができました。
 今日は、学習発表会がありました。はじまるまできんちょうして、心ぞうがばくばく動いてました。はじまってげきの時に、みんなが笑ってたので、きんちょうしなくなりました。
 ぼくは一番どきどきしたところは、もみじを歌うことでした。でもうまくいったのでほっとしました。
 来年の学習発表会もがんばろうと思います。
(海くんの日記より)



 学習発表会に向けて、私が密かに準備してきたことがありました。それは何かというと、引田天功さんもビックリの、イリュージョン!その名も
「−200℃の世界」です。
 これは液体窒素を使って、いろいろなものを凍らせる実験をし、来てくださった島の方々をビックリさせようと、私が計画してきたものです。
 友人に頼んで、液体窒素を岩国から「すいせい」で運んでもらい、バナナや、バラの花、ゴムボールも準備し、全て手はずは整っていました。
 けれど、私の持ってうまれた性分でしょうか?
 こういう晴れの舞台では必ずしくじってしまいます。凍らせようと思っていたバラの花は職員室に忘れ、凍らせたゴムボールは割れず、凍ったバナナで釘を打とうとしたら、かえってバナナに釘が刺さる始末。
 会場には失笑が広がっていきました。ハァ〜。
 けれど、見せ物としてはおもしろかったようで、特に古屋先生や恒松校長先生に大受けでした。
 やっぱり準備や練習は大切ですね。
 今日は学習発表会でげきをまちがえなかったのでうれしかったです。おもしろかったのは、清田先生の理科じっけんがおもしろかったです。
 それは、こおったバナナでくぎをたたくと木にささっていたので、びっくりしました。
「なんでも、そのえき体に入れるとカチカチにこおるんだな。」
と思いました。
(侑ちゃんの日記より)



 今回の隠し球パート2!
 全員合奏の前に、4人のお姉さんに合唱を披露してもらいました。彼女たちはいずれも大学生ですが、ひょんな縁からそれぞれ端島に興味を持ってくれて、今回の学習発表会にも参加してくれました。曲目は、「ビリーヴ」「命の名前」(「千と千尋の神隠し」の主題歌)「カントリー・ロード」「COSMOS」でした。時にはうつくしい声のハーモニーが、また時にはフルートが奏でるきれいな旋律が、時には失敗もありましたが、春風を思わせるさわやかな音色にみんなが酔いしれました。



 最後は全員合奏です。曲目は『茶色の小びん』。この曲は本校の子どもたちが使っている、4年生の音楽の教科書にものっており、ジャズのナンバーとして有名な曲です。島の方々もどこかで耳にされたであろうと思い、合奏曲として選び、子どもたちは1月からそれぞれの楽器をずっと練習してきました。
 そして、本当に全員がそろっての練習は前日のみでした。練習では、なかなか(?)の出来でしたが、当日の演奏はどうだったでしょう?見ておられた方々の拍手が、お褒めの拍手か、はたまた同情の拍手か?
 けれど、みんなでひとつの曲を作り上げる喜びを子どもたちも、我々大人も味わえたので、合奏自体は成功と言ってもいいかなと、思っています。


 学習発表会が終わったあと、島の方々とおもちをこねました。
 こねたおもちは、前々日に子どもたちと裏の畑でとったヨモギを混ぜた、よもぎもちです。そのほかに、浦浪さんが作ってくださった、紅白のおもちも、来てくださった方々に配りました。みなさん、笑顔で帰っていかれました。
 来年も、今年以上の学習発表会をおこなっていきたいと思います。



うれしかった よかった
 このあいだ、学習発表会をしました。
 わたしはげきが、とくにうれしかったです。
 まず、もみじを歌いました。そして、歌い終わると、みんながはく手をしていたのでうれしかったです。もみじをまちがえなくてよかったです。
 それから大じゃ(海くん)がスキップしながら出てくるとき、みんなが手びょうしをしてくれました。私はうれしかったです。
 はしまの人を見ると、私たちのげきを見てにこにこわらっていました。私もわらいそうになりました。
 海くんは自分のせりふを、海くんがまるでヘビになったつもりでやっていたのですごいなと思いました。
 よし、私は杉本よそうざえもんさんのつもりでやろうと、思いました。
 私は、来年も今年よりももっとがんばりたいです。
侑  季


 このあいだの学習発表会にたくさんの人が来たのでよかったです。むかべ学習の発表で、「はねのあるキリン」をしょうかいするときに、本をさしてなかったのでくやしかったです。でも、読むのはあまりまちがえなかったのでよかったです。
 げきは、もみじを歌うと、みんながはくしゅをしたのでうれしかったです。まちがったところはリコーダーをまちがったことです。でも、セリフを言うのをつっかからなくてよかったです。ぼくがヘビのいしょうを着て出たら、みんながわらったのでぼくもわらいそうになりました。だから楽しかったです。
 音楽の発表は、みんなで合奏をしました。最初はぼくと侑ちゃんと清田先生と校長先生でやって、2番になると、ぱっこぱっこやしゃりんしゃりん、3番になるとドンドンやじゃんじゃんという音が聞こえました。最後にまとまったのでよかったです。
 そして、おもちをもらいに行きました。そしたら、よもぎもちの形が山みたいでした。家に帰って食べるとよもぎもちがとってもおいしかったです。
 みんなによろこんでもらえてよかったです。
 来年もがんばろうと思います。
海  輝



 学習発表会をふり返って、まず思うことは、この人数で、よくやったなということです。劇など、子どもたちが1人2役、3役し、私が音響とスライド、校長先生は照明と、ギリギリの頭数でした。(浦浪さんはナレーターとして声(MD)による出演でした。)
 けれど、一人ひとりが様々に工夫し、練習に練習を重ねて、当日は大成功でした。中には失敗もありましたが、本当によくやったと、わがことながら思います。
 次に思うことは、侑ちゃんと同じく、「うれしかった」ということです。当日の参加者は、我々関係者を含めて、34名でした。これは島の8割の人が来られたということです。そして、どなたも本当に笑顔で帰られました。ある方は、
「毎年この学習発表会を楽しみにしよるんですよ。」
と、杖をつきながら長い時間をかけて、山の上からわざわざ足を運んでくださいました。また、ある方には、学習発表会が終わったあとに、
「教育の力ちゅうのはすごいですね。」
と言っていただきました。更に、当たり前のように、当日の朝、「すいせい」に乗って恒松校長先生と前担任の古屋先生が応援に駆けつけてくださいました。2人の子どもと端島小学校は、このように温かい方々に見守られているんだということが、あらためて実感できました。ほんとうにうれしいです。
 そして、やっぱり2人のがんばりには今回も脱帽です。
 2人の合唱した「もみじ」は皆さんからほめていただきました。けれど、これを練習しはじめた当初はまるっきり歌えませんでした。しかも、二人っきりで、上と下のパートにわかれての合唱です。となりの歌声につられて、なかなかきれいなハーモニーになりませんでした。練習を始めたのが10月でしたが、練習を重ねるうち、はじめはなかなかうまくはいきませんでしたが、徐々に2人は上達していきました。ただし、練習を重ねても、完璧と言える合唱は1回か2回で、失敗の連続でした。当日の歌も、正直、私は歌い終わるまでハラハラしながら聴いていました。
 2人もそうですが、わたしも会場から自然にわき起こった拍手が、ふるえるほどうれしかったです。
 たしかに、人間誰しもできることもあればできないこともあるでしょう。学校での教育活動には時間的な制約ももちろんあります。ですから、限界を感じることもあります。
 けれど、目の前にいる子どもの可能性を信じて、自分にできるかぎりの手だてをとることが必要だと、今回本当に思いました。もしも、2人ができないからと言ってかんたんにさじを投げていたとしたら、きっとこれほど感動はしなかったでしょうし、子どもたちも自分に自信を持てなかったでしょう。これからも、私は2人の可能性を信じながら、2人のために自分のできることを、試行錯誤しながら、失敗もしながら、やっていきたいと思っています。
 来年は児童が3名になります。子どもたちや島の方々がもっと楽しめるように、学習発表会の規模や内容も、変えていこうと思っています。来年はどんなドラマが待っているか、今から楽しみです。

お わ り